不動産売却相談室
Vol.2 「不動産売却の契約形態の違いが分かりません!」
お持ちの不動産を仲介(媒介)で売却する際、不動産会社との間で「媒介契約」を結びます。媒介契約は希望する仲介サービスや手数料など、売主(依頼者)が不動産会社との依頼関係を明確にするもの。
契約形態は主に3種類あり、それぞれにメリット、デメリットもあるので、注意が必要です。
今回は、不動産売却の契約形態の違いについてお答えします。
<こんなお悩みの方にオススメの記事です> ・不動産売却を検討されている方 ・不動産売却の契約形態の違いを把握したい方 |
不動産を売却する時に必須の「媒介契約」とは
専門的な知識が必要となる不動産売却では、自分で買い手を見つけることは難しく、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。
不動産会社に仲介を依頼するときに行う契約が「媒介契約」となります。
この契約は主に、不動産会社と売主の依頼関係を明確にすること、また意思決定をするうえで双方の間で様々な条件を整理するためのもので、仲介業務に関するトラブルを防ぐことが目的です。
不動産会社は媒介契約の契約内容を明記した書類を作成し、売主(依頼者)に渡す義務があるため、不動産会社を通して家を売却する際は必須の契約です。
媒介契約書の中にはどのような条件で売却活動を行い、成約した際の報酬はどうするのかといったことを定めて契約を取り交わします。
契約種類は3種類、各媒介契約の違いは?
媒介契約には、「一般媒介契約」、「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
それぞれの契約内容の違いは「複数業者との契約可否」「他社への通知義務の有無」「自己発見取引の可否」「契約の有効期間」「レインズ(不動産流通機構)への登録」「業務状況報告義務の有無」の6つのポイントで比較することができます。
以下の表に各媒介契約の違いをまとめています。
専任媒介契約 |
専属専任媒介契約 |
一般媒介契約 |
|
複数業者との契約 |
× |
× |
〇 |
他社への通知義務 |
× |
× |
〇 ※明示型の場合 |
自己発見取引 |
〇 |
× |
〇 |
契約の有効期間 |
3か月以内 |
3か月以内 |
指定なし |
指定流通機構への登録 |
7日以内に登録 |
5日以内に登録 |
任意 |
業務状況の報告義務 |
2週間に1回以上 |
1週間に1回以上 |
任意 |
それぞれのポイントを抑えながら、不動産売却をスムーズに進めるためにも、それぞれの契約形態の違いを見ていきましょう。
一般媒介契約の特徴
一般媒介契約は同時に複数の仲介会社へ物件の売却を依頼することが可能です。
売買契約を結ぶことになった買い手を紹介してくれた会社に、成功報酬として仲介手数料を支払います。また、依頼者が自分で購入希望者を見つけた場合も売買することが可能です。
その他、指定流通機構・レインズ(国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営しているネットワークシステム)への登録は任意で販売状況の報告がなく、契約期間3カ月以内といった取り決めがあります。
自力を含めた複数の不動産会社と契約を結べる点は魅力的ですが、不動産会社によっては専任媒介契約と比較して力を入れにくく、なかなか買い手が見つからない可能性もあるため、注意が必要です。
一般媒介契約のメリット
- 複数の不動産会社と媒介契約を結べるので、その分、買い手を広く募集できる。
- 自分で買い手を見つけられる。
- レインズへの物件登録義務がないことから、情報を限定的に扱ってほしい人にとってはメリットになる。
一般媒介契約のデメリット
- 複数社から連絡を受けることになるため、情報整理に手間がかかる。
- 仲介会社には売主への活動報告義務がないため、依頼を受けても実際には販売活動にあまり力を割かず、売主にはほとんど連絡を入れない仲介会社もあるので注意が必要。
専任媒介契約の特徴
専任媒介契約は不動産売却を1社のみに依頼する媒介契約です。
他の不動産会社と併せて仲介を依頼することはできませんが、自分で買い手を見つけて売買契約を締結することはできます。
その他、レインズへの登録義務があり、媒介契約を締結した翌日から7日以内、依頼者への販売状況の報告義務が2週間に1回以上、媒介契約の有効期限は3ヶ月と定められています。
専任媒介契約のメリット
- 1社としか契約を結ばないため、不動産を売却するために契約を結んだ不動産会社が一生懸命活動してくれる傾向がある。
- 窓口が1つであること、業務処理報告の義務もあることから、情報が集まりやすくなる。
- 2週間に1回以上の販売状況の報告義務が課せられるため、依頼する側としても安心して待つことができる。
- 自分で買い手を見つけられる。
専任媒介契約のデメリット
- どれだけ営業・宣伝してくれるかがその不動産会社頼みになってしまう。
- 他社との競争がないため、販売活動が活発でなくなってしまう可能性がある。
専属専任媒介契約の特徴
基本的な内容は専任媒介契約と同じです。より契約内容を厳しくしたものと言えるでしょう。
他の2つの媒介契約とは異なり、自分で買い手を見つけて契約する行為が禁止され、その場合は不動産会社を媒介業者として契約することになります。
その他、レインズへの登録義務があり、媒介契約の締結から5日以内、依頼主に対する報告義務は1週間に1回以上と定められています。
専属専任媒介契約のメリット
- 専任媒介契約では、仲介会社に義務付けられる活動報告の頻度は2週間に1回以上なのに対し、専属専任媒介契約では1週間に1回以上。その分、熱心な販売活動やきめ細かな経過報告を期待できる。
専属専任契約のデメリット
- 売主は必ず依頼した不動産会社を通して売却することになるため、自分で買い手を見つけても、不動産会社への仲介手数料が発生してしまう。
媒介契約を結ぶときの注意点
それぞれの契約形態の違いをご紹介してきましたが、実際に媒介契約を締結する際には以下の2点に注意が必要です。
媒介契約の解約条件を把握しておく
不動産会社と媒介契約を締結したものの、思うように進まない場合は解約するという選択肢もあります。媒介契約の解約については、契約形態によって違いがあります。
「一般媒介契約」
解約はいつでも可能。電話口で解約したいと伝えるだけで大丈夫です。
「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」
解約自体は可能ですが、契約期間の3ヶ月以内に解約するのであれば違約金が発生してしまう可能性があります。
心配であれば、3ヶ月経過後の更新の際に「更新しない」という選択をすることで解約すれば安心です。
また、いずれの媒介契約に関しても、媒介契約書の中で広告・宣伝費の取り扱いについて途中解約のペナルティが書かれていれば、それまでに掛かった広告費や宣伝費を支払わなければならない可能性があります。
解約をご希望の際は媒介契約書をしっかりと確認しましょう。
物件が売れなかった場合の対策を考えておく
媒介契約を締結する際、物件が売れなかった場合の対策を考えておくことも大切です。基本的には媒介契約を締結してから3ヶ月以内に売却できるように計画を組むのがベストとされています。
専任媒介契約がダメなら、一般媒介契約を検討してみるのもよいでしょう。
複数の不動産会社に1件1件連絡を取っていくのは大変なので、一度で複数の不動産会社に連絡を取れる一括査定の利用がおすすめです。
媒介契約はどれを選ぶ?
3つの媒介契約の中でも特に選ばれているのは専任媒介契約ですが、売却を依頼する不動産によっては一般媒介契約が合うこともあります。
早めに売却を行いたいか、じっくりと納得感を持って売却したいか、といった売却までの希望スピードによっても選ぶべき契約の種類は異なります。
早期に売却を行いたい方は「専任媒介契約」もしくは「専属専任媒介契約」、じっくり買い手を検討したい方は「一般媒介契約」がおすすめです。
また、一度媒介契約を締結しても、販売活動がうまくいかないようであれば、他の不動産会社と媒介契約を結ぶなどして、臨機応変に対応していく必要があります。
そこで各契約ごとに、それぞれの契約を選択すべき人の特徴をご紹介します。
一般媒介契約を選択すべき人の特徴
- 自由度を持って売却を進めたい方
- ご自身で積極的に買い手を探したい方
- 買い手の候補がいる、売却先のつてがある方
一般媒介契約の最大の特徴は複数の不動産会社と同時に契約ができ、売却の選択肢を広げやすいこと。
売主がご自身の手で積極的に買い手を探したいと考えている場合やすでに売却先のつてがある場合は一般媒介契約でより魅力的な買い手を不動産会社に探してもらいつつ、買い手を検討していくと良いでしょう。
専任媒介契約を選択すべき人の特徴
- 自分で買い手を探したい意思がある方
- ある程度不動産会社のサポートが必要だと感じる方
- どのようにすべきか中々決断ができない方
専任媒介契約は媒介契約の中でもバランスが取れている契約です。不動産会社にある程度積極的な営業活動を行なってもらいつつ、ご自身でも買い手を探すこともできるため、他の2つの契約の良いところが含まれた契約だと言えます。
3種類の契約でどの契約が良いかわからない場合は専任契約が最も中立的な内容であるため、お試しで3ヶ月だけ利用しても良いでしょう。
専属専任媒介契約を選択すべき人の特徴
- 不動産会社に全てお任せしたい方
- 売却活動のノウハウがわからない方
専属専任媒介契約は、不動産会社から売主(依頼人)への報告が1週間に1回以上と頻繁に報告する義務が発生するため、より積極的に営業活動を行なってもらいやすいです。
ご自身では買い手を探す時間がない、ノウハウがないために売却活動に手を出すことが難しい場合は、専属専任媒介契約を締結して不動産会社に全て任せてしまうことも一つの手でしょう。
おわりに
今回は不動産売却における媒介契約の種類と選び方についてお伝えしてきました。
不動産売却は高額な買い物ですから、売る方も買う方も慎重になるのは当然です。トラブルなく、よりよい条件で売却を行うためにも、ある程度の知識を身に付けてから契約を結びましょう。
弊社ではどの契約を行うべきかのご相談も受け付けています。
「こういう状況なのですが、何を選べばいい?」といったご相談は、ぜひ越後ホームズまでご相談ください。
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