不動産売却相談室

Vol.5 「不動産を高額で売却できる
タイミングはいつですか?」

Vol.5 「不動産を高額で売却できるタイミングはいつですか?」

前回お届けした Vol.4 「不動産を高額売却するためのコツはありますか?」では、なるべく高く不動産を売却するために自分で実践できる対策についてお伝えしました。ちょっとしたコツを意識するだけで、納得できる売却額に近づけられることを知っていただけたのではないでしょうか。

高く売るためのコツと合わせて頻繁にご質問いただくのが「売却する時期やタイミングによって価格は変わるのか?」ということ。結果からお伝えすると、同じ物件を同じように売り出しても、タイミングによって売却価格が変わる可能性はあります。

そこで今回は、不動産を高額売却するために知っておきたいベストなタイミングについて解説していきます。

〈こんなお悩みの方にオススメの記事です〉

・不動産を売るタイミングを見計らっている方

・相続で取得した不動産を売却したいと考えている方

・家の住み替えを検討している方

はじめに、不動産売却の現況を確認しましょう

不動産が高く売れるタイミングは?

家やマンションといった不動産の相場は、社会情勢の影響を受けやすい傾向にあります。当たり前のようですが、景気がいいときには高額でも取引が盛んになり、景気が悪くなれば価格は下がってしまいます。近年では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で住宅全般の価格は下落しましたが、その後はプラスに転じ、2022年現在は全国的に見ると上昇傾向にあります。

しかし、新潟県の発表によると、県内の地価は26年連続の下落。新潟市を中心とした42地点では住宅地の価格は上昇していますが、新潟県全体ではやや下落傾向にあります。多くの若者が都会に流出し、人口減少に歯止めが効かない現状を鑑みると、今後も空き家は増え続け、不動産は売れなくなっていくことが予想されます。

また、基本的に住宅は築年数が経つほど建物の価値は下がります。空き家であっても所有している限り、維持費はかかり続けるので、基本的には不要になったタイミングで売却するのがおすすめです。

不動産売却を有利に進められるタイミングは?

ただ、冒頭で触れたように売却の時期や市況によって、同じ物件・同じ売り出し方法であっても売却額が変わるケースがあります。これから解説する3つのポイントを知らないと損をしてしまう可能性がありますので、不動産売却を検討している方は参考にしてください。

  1. 築年数
  2. シーズン
  3. 税金

ここからは、3つのポイントをそれぞれ詳しく解説していきます。

①築年数

繰り返しになりますが、不動産の市場価値は築年数が経つほど下がっていきます。マンションは築年数に比例して、年に平均2%ずつ下落。木造の戸建ての場合は築10年で新築物件の半分ほど、築15年までは急速に下がり、その後は緩やかに下落。築20年を超えた時点で建物自体の資産価値はほぼゼロに近くなります。

そのため、築年数をもとに売り時を見極めるのであれば、マンションと築15年までの戸建ては早めに売るのが得策。高額な取引になる不動産売却においては、1年違うだけで数百万単位の差額が発生します。できるだけ高値で売却するためには、少しでも早く売ることが重要です。
一方で、築20年を超えると戸建ての価値はほぼ横ばいになるため、築年数の観点からは売り急ぐ必要はありません。他の観点も含め、総合的に売り時を判断するのがよいでしょう。

またマンションでは、各住民・所有者が月々の修繕積立金を管理組合に支払い、それを利用して修繕が行われるケースもあります。築年数が経つにつれて、予想を超えた劣化が判明したり、工事費の上昇が発生し、ランニングコストは上昇しやすくなります。また、大規模修理に際して、一時徴収金を請求されるケースもあります。住み替えを検討している人で、大規模修理に向けた多額の出費やランニングコストの上昇が予定されている場合は、売却に踏み切るタイミングといえるでしょう。

②シーズン

不動産売却は、2月〜3月に最も取引が活発になる傾向があります。これは進学や転勤を控えた新年度を前に、新しい住居を求める人が増えるからです。しかし、不動産が売れやすい時期をピンポイントで狙って売り出すことは簡単ではありません。不動産の売却が決定するまでには、平均で5カ月ほどかかるのが一般的。売り出し価格を決めて売却活動をスタートしても、購入希望者に物件の情報が行き渡るまでには3カ月ほどかかるため、ベストシーズンを逃さないためには11月頃から売却活動をスタートできるようにスケジュールを立てましょう。

ただし物件や周辺環境などの条件によって、すぐに買主が見つかる場合もあれば、1年以上売れないケースもあります。シーズンに囚われ過ぎて、売り時を逃すことがないように気をつけましょう。

③税金

不動産売却を有利に進めるためには、不動産の売却価格だけでなく、売却後に納める税金にも意識を向けてみましょう。不動産を売却したときには、売って得した利益(売却益)が「譲渡所得」として課税の対象となります。譲渡所得は売却金額全体ではなく、その不動産を手に入れたり売ったりしたときの費用を差し引いた金額のこと。この不動産を売却して得た利益=譲渡所得に税金がかかります。そのため、売却価格が購入価格よりも安いなど、売却をして損をした場合には払う必要はありません

譲渡所得にかかる税金は、所得税と住民税の2種類。家を売った年の1月1日時点でその家の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。それぞれの税率は下記の通りです。

区分 所得税 住民税

長期譲渡所得(=家を所有して5年以上)

15% 5%

短期譲渡所得(=家を所有して5年以内)

30% 9%

表から分かる通り、家を所有して5年以内の場合、5年以上の家を売却したケースの倍の税金を納める必要があります。これだけを見ると5年以上経ってから売却する方が得策に見えますが、マイホーム(居住用財産)を売った場合には、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。この特例が適用されると、譲渡所得が3,000万円以下の場合、所有年数にかかわらず課税はされません

現在住み続けている住宅の場合、この特別控除を利用するための期限はありません。ただし、空き家を売却する場合には、空き家になってから3年が経過する年の12月31日までに売却する必要があるので注意しましょう。

また、売主と買主が親子などの特別な関係である場合や、新しい住居を新築する期間中の一時的な仮住まいだった場合には特例の適用外になります。他にも適用外になるケースがありますので、あらかじめ特別控除の条件を確認しておきましょう。

さらに、売却する本人がマイホーム(居住用)として利用している家で所有期間が10年を超えている場合、3,000万円の特別控除を適用したあとの譲渡所得に対して、軽減税率を充てることも可能。本来であれば、所得税15%、住民税5%となるところ、6,000万円までの部分に関しては、所得税10%、住民税4%に軽減されます。「あと少しでマイホームの所有期間が10年を超える」という場合は、10年を待ってから売却する方が得策です。

 

不動産を売ってはいけないタイミングは?

ここまで、不動産売却を有利に進められる時期・タイミングについて3つのポイントから解説してきました。ここからは、反対に不動産を売却するべきでないタイミングについて解説していきます。

①住宅ローンの金利が高い時

住宅ローンの金利が低い時にはローン返済時の利息が少なくなるため、不動産の購入希望者が増加します。それだけ買主による競争が盛んになるので、売主にとってはよりよい条件で売却を進めることが可能になります。
2022年7月現在、日本の住宅ローンは「超低金利時代」が長く続いています。これは、コロナウイルスの影響で打撃を受けた経済の立て直しを目的とした緩和策と見られますが、銀行同士の競争が続く限り、しばらくは低金利状態が続くと考えられています。
しかし、今後の物価や不動産価格の上昇率次第では、金融政策の変更が行われる可能性があります。将来的な金利の変動について断定することはできませんが、金利が高くなると不動産売買の動きは鈍化するとみられますので、低金利が続いている今は売り時といえるでしょう。

②住宅ローンの残債がある時

転勤や住み替え、離婚などを理由に購入時の住宅ローンが残ったまま不動産の売却を行うケースもあるでしょう。このタイミングで売却してはいけないという訳ではありませんが、通常の不動産売却時に比べて注意点が多いので、説明していきたいと思います。

上記でも説明した通り、築年数が経つにつれて市場価値は下がっていくので、不動産が不要になるタイミングで売却するのがベストですが、ローン残債がある場合は慎重に進める必要があります。

前提として、ローン返済中の物件を売却するためには、買主に引き渡すときにはローンを完済し、不動産にかかっている抵当権を抹消することが条件となります。つまり、家を売るにしても買い替えるにしても、金融機関から借りているお金を一括完済する必要があります。この時、金融機関によっては、繰り上げ返済手数料がかかることもあるので、覚えておきましょう。

次に、ローンがいくら残っているかを確認し、相場や査定額をもとにお金の流れを予測します。この時、不動産を売却して得たお金で、ローンの残りを返済できる「アンダーローン」の状態であれば問題ありません。しかし、売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」のケースもあります。不足分の資金を用意できれば問題ありませんが、難しい場合には競売や自己破産になることも想定されます。不動産の条件がいい場合には、不動産会社に売却を頼む「任意売却」という選択肢もありますが、残ったローンは引き続き返済していかなければなりません。新生活をスムーズに始めるためにも、どんなふうに売却を進めるか、よく相談しておくことが大切です。

おわりに

今回は、不動産を高額で売却できるタイミングに焦点を当てて解説してきました。市場価値には、築年数が大きく関わってくるので、基本的には「今」が一番の売り時といえます。ただし、不動産の取引が活発になる時期や景気の動向を見極めることで、より有利な条件で売却を進めることが可能になります。「売り急いで、損をした…」と後悔しないためには、余裕を持ったスケジュールを立てて、計画的に進めていきましょう。

とはいえ、税制の優遇措置や相場、資産価値の変化といったさまざまな観点から判断する必要がある上に、日々条件は変化しているので不動産の専門家に相談することをおすすめします。
越後ホームズでは、不動産買取15年以上の経験と豊富な実績をもとに、幅広いお悩みを解決に導いています。新潟で不動産売却を検討している方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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